高校生意識調査を受けて

まぁこんな結果が出たわけですが、今回のように日本の高校生に限らず、日本は「幸せだと感じる」人の割合が他国と比べて著しく低いことは、見田宗介朝日新聞で指摘していた。
その点で調査は当然の結果。そして今回の調査結果が特別なのではなく、自分が高校生だった90年代後半も同様の結果だったろう。


調査は、米中韓では勉強という上昇志向が強く、日本では関係が重要であるということを示している。

確たる根拠は無いのだが、上昇志向を持つためには時間的にも空間的にも開かれて「将来・あの場所」という感覚が必要である一方、関係が価値として浮上するのは時間的にも空間的にも閉ざされていて「今・ここ」という感覚が強いことと関係しているのでは。

しかしそれではなぜ「今・ここ」感覚が強いのだろうか。「今・ここ」の幸せを求めることで逆に「今・ここ」(という強迫)から出られずに苦しくなり幸せでなくなるという逆説。そして幸せでなくなるので、余計に「今・ここ」にこだわる(「今・ここ」に没入していく)という悪循環があるように思う。

「今・ここ」という感覚から逃れるためには、時間的にも空間的にも意識を開く必要があるのだが。


以下、調査と調査に関する報道。

財団法人日本青少年研究所


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060301-00000014-yom-soci

日本は「できる生徒」より「人気者」…高校生意識調査

 日米中韓の4か国の中で、日本の高校生は学校の成績や進学への関心度が最も低いという実態が1日、文部科学省所管の教育研究機関による意識調査で明らかになった。

 米中韓では「勉強ができる生徒」を志向する傾向が強いのに対し、日本の高校生が最もなりたいと思うのは「クラスの人気者」。もっぱら漫画や携帯電話に関心が向けられているという傾向も表れており、“勉強離れ”が際だつ結果となっている。

 調査は青少年の意識研究などを行う財団法人「日本青少年研究所」と「一ツ橋文芸教育振興会」が昨年秋、日米中韓の高校1〜3年生計約7200人を対象に実施した。

 それによると、「現在、大事にしていること」(複数回答)として、「成績が良くなること」を挙げたのは、米国74・3%、中国75・8%、韓国73・8%に対し、日本は最下位の33・2%。「希望の大学に入ること」も、米国53・8%、中国76・4%、韓国78・0%に対し、日本はわずか29・3%だった。

 「いい大学に入れるよう頑張りたいか」という問いに、「全くそう思う」と回答した生徒は、中国64・1%、韓国61・2%、米国30・2%で、日本は最下位の25・8%。また、「どんなタイプの生徒になりたいか」を尋ねたところ、米中韓は「勉強がよくできる生徒」が67・4〜83・3%を占めたが、日本は「クラスのみんなに好かれる生徒」が48・4%でトップだった。

 逆に日本の高校生が他の3か国に比べ、「非常に関心がある」と回答した割合が高かった項目は、漫画やドラマなどの「大衆文化」(62・1%)、「携帯電話や携帯メール」(50・3%)、ファッションやショッピングなどの「流行」(40・2%)など。米中韓でいずれも50%前後だった「家族」は、日本では32・4%にとどまった。

 調査を担当した日本青少年研究所千石保所長は「未来志向の米中韓に対し、日本の高校生は現在志向が顕著で、『勉強しても、良い将来が待っているとは限らない』と冷めた意識を持っている」と指摘している。
(読売新聞) - 3月2日1時55分更新


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060301-00000108-mai-soci

<高校生意識調査>中韓の4分の1が「日本好き」

 中国、韓国との摩擦が目立つ中、両国の高校生の4分の1が「日本が好き」と答え、日本の高校生の両国に対する好感度を上回ったことが1日、財団法人日本青少年研究所(東京都新宿区)などのアンケート調査で分かった。また、成績向上を望む割合は米中韓がいずれも7割台と高いのに比べ、日本は3割台にとどまるなど勉強離れが目立った。
 調査は昨年10〜12月、日米中韓の高校生計約7300人を対象に行った。「日本が好き」と答えたのは米国がトップで45.2%。次いで中国24.5%、韓国24.0%。一方、日本の生徒が「好き」と答えた国は米国が39.6%で最も高く、韓国16.7%、中国10.2%で、日米は双方で好感度が高かった。日本のマンガやアニメを見るのは、中国で73.3%、韓国で81・4%と高く、日本のテレビや本などに接する生徒に限ると、「日本が好き」との回答は、中国40.5%、韓国39.1%にアップ。訪日経験者の場合、中国48.6%、韓国40.3%と好感度はさらに伸びた。
 日本の高校生は、「希望するもの」として挙げた割合が最も高い「友人関係がうまくいく」でも4割を切った。大学院を目指す割合も4カ国で最低の7.2%だった。親友がいない割合は7.0%と最も高い一方、親からほめられたり、期待を感じる割合も他国に比べて低く、友人関係や親子関係の薄さも目立った。【長尾真輔】
毎日新聞) - 3月1日21時47分更新