そんなに騒ぐことなのか
今日仕事終わりに寒かったので、町田の「ラーメンおやじ」でおやじ麺+大盛+味玉を食べる。でもおばちゃん「間違えてネギ入れちゃった」って。まぁそんなこともあるのか&タダでネギがついてラッキーと思い食べていた。
そうしてると報道ステーションで堀江貴文「容疑者」って言ってて、どうやら逮捕されたらしい。「へー逮捕されたんだ」くらいにしか思わず、美味しくおやじ麺食べました。満腹&満足。
でも今回のライブドアの事件テレビで連日のようにやっているけど、正直驚きは無い(はっきりいって毎日報道されてるが報道内容もツマラナイ)。むしろマスコミ報道聞いてても、感情的に騒いでいるだけで問題の本質は分からないということを感じる。これはJR福知山線脱線事故の時の報道にあった感情的な吹き上がり同様、相変わらず論理的説明、つまりなぜ問題が生じたのかが説明されず、また年金問題が議員個人の未納問題に矮小化されるように、しっかりとした問題構造の説明も無いので経済事件が単なる人格報道に陥ってしまっている。そして一応ホリエモンは「容疑者」であって「犯人」でないし、「容疑者」や「犯人」であっても人格無視の報道がOKになるはずがない。
なんとなく感情に流される報道の例としては、以下。
日本テレビ世論調査 50%以上がライブドアの業務に不審持つ
「ライブドア」が強制捜査を受けたことについて、日本テレビが週末に行った世論調査で50%以上の人がいずれ不祥事が起きると思っていたなどと答え、ライブドアの業務に不審を持っていたことがわかった。調査によると、ライブドアの強制捜査に対して「驚いた」と答えた人が38.2%。これに対し、「いずれ不祥事が起きると思っていた」が38.3%。「当然の結果で捜査は遅すぎるくらいだ」が16.0%となっており、計50%以上が以前からライブドアの業務に不審を持っていたことになる。今後の景気への悪影響については、「あると思う」が41.5%、「思わない」が45.3%で見方が分かれている。
また耐震強度偽装の問題で、先週国会で行われた「ヒューザー」小嶋進社長の証人喚問について、「真相究明に役だったとは思わない」と答えた人が80.5%に上り、7割近くが証人喚問や参考人質疑を引き続き行うべきと答えている。
一方、小泉内閣の支持率は先月より3.1ポイント下がって、52.6%となっている。
日本テレビ電話世論調査
【調査日】1月20日〜22日
【対象者】全国1000人
【回答率】53.2%
http://www.ntv.co.jp/yoron/出典:http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn/20060123/20060123-00000004-nnn-pol.html
これもおかしなデータです。どこをどうしたら、50%以上が不審を持っていたことになるのか。性質の違うデータを足して50%以上としても意味は無いし、単純に足しても100%にならない。仮に「いずれ〜」と「当然の結果で〜」を不審感の表明としてまとめて55%くらいにしても、似たような質問を「単純に足して」○%とするのは明らかに誤り。例えば「消費税増額賛成30%」「福祉の充実賛成40%」を足して「大きな政府に賛成70%」とするのがおかしいの同じ。これだったら似たような質問項目を増やせばどんどん%があがってしまう。
あと実際の質問の仕方も答えに影響を与えるし、対象者の年齢分布も分からんし、532人で1億2千万人を代表するのは無理。でもこういう見出しは一人歩きしてしまう。
さて今回のライブドア事件に驚きがないのは、エンロン事件やワールドコム事件を連想させるからだ。
少し布石を打つと、2001、2002年当時日本経済で最大の問題になっていたのは不良債権問題であったように思う。不良債権問題は経済的な問題にとどまらず、公的資金をいつ、どの程度注入するのかという政治問題、そして金融機関のガバナンスとそれに付随する会社のガバナンス(コーポレート・ガバナンス)をどうするかという問題を含んでいた。コーポレート・ガバナンスに関しては、これまでのような社員主体の経営から株主主体の経営へ改める必要があるという議論(広くは会社は誰のものかという議論)、金融機関を通じた相対型間接金融から株式・債券を通じた市場型直接金融へと資金経路を移す必要があるという議論があった。背景にはアメリカ経済の好況への憧憬、日本経済への自信喪失があったように思う。
当時の個人的な考えとしては、確かに旧来型の会社経営では閉塞感をうまく打破できないのは確かだが、アメリカに習えでも中長期的にはうまくいかないだろうと考えていた。(この古い弱者救済が長期的な制度腐敗とともに弱者抑圧になり、市場メカニズムにたよりきる新自由主義も弱者を幸せにしないという構図は先の総選挙でも見られた。そこで新しい第三の道となるが、それをはっきりうちだせないと民主党のようになる)
そんなことを考えていたときにエンロンとワールドコムの事件が起きた。コーポレート・ガバナンスの手段としての株価向上が、やがて目的化し、やがて監査法人をも巻き込んで粉飾決算に至る事件である。
(http://www.rieti.go.jp/jp/papers/journal/0211/bs01.html)
(雑誌『プレジデント』の公式サイト)
そうした事件を踏まえると、今回のライブドア事件がなにも騒ぐような新しい事件ではないことが分かるだろう。同じような事件が起こったに過ぎない。
したがって今重要なことは、ホリエモンの人格問題ではない。株価や自己資本比率という数字で表される経済状態が回復しているといわれる今こそ、政治経済から経営にいたるガバナンス問題、報道倫理のあり方、裁判制度(刑事事件でためされているのは検察の検証能力で、少しでも疑いがあればシロ。挙証責任は検察にある。)をしっかり再考するきっかけとすることだろう。