衆議院選挙の行方

いよいよ衆議院選挙まで10日を切った。解散から選挙まで結構時間があるなと思っていたらあっという間に選挙です。

具体的なポイントになってくるのは都市無党派浮動票の行方だろう。小泉自民が分かりやすい争点の設定と有名候補・女性候補ポピュリズムでこのまま逃げ切るか、それとも時間の経過とともに政策を冷静に見極めることが出来るだけの層が増えてくるかで決まるだろう。

選挙序盤では郵政民営化の是非という「濃い霧」で他の争点を覆い隠す一方で、「強い光」を放つ有名人候補に基づくポピュリズムが成功した。何より連日のマスコミ報道で使われる「刺客」などの用語そのものが小泉自民に有利に働く用語である。競争のステージそのものを小泉自民は非常にうまく作り出した。一方民主はマニフェスト(政策綱領)そのものは良くできているがアピールという点で失敗した。「日本をあきらめない」は「郵政民営化賛成」ほどマニフェストを集約する積極的なメッセージではなかったからだ。

さらに今後の選挙の大きな構図を描くと、不透明・非合理な政策決定を行う「旧自民党」を、結果的に否決されることさえ織り込み済みの「郵政民営化」によって破壊した「小泉自民」に引き続き政権を任せるかどうか、それとも官との関係の無い民主党に任せるかである。つまり古い自民党を破壊した小泉に構築までゆだねるのか、それとも小泉は旧い自民党を壊した時点で御役御免とし、新たな構築は政権交代をした民主党にゆだねるのかが大きな構図であろう。

その際に選ぶ基準としては、小泉自民と民主の最も大きな違いである外交政策とネット選挙の是非である。外交面で民主はアジア外交重視、国内選挙手続きではネット選挙の解禁を宣言している。一方小泉自民はアメリカ重視、ネット選挙反対である。
このアジア外交とネット選挙こそ、小泉自民と民主の違いである。今のところ「郵政民営化是か非か」「大きな政府か小さな政府か」という意図的なミスリーディングが功をそうしてアジア外交、ネット選挙は争点にならず小泉自民支持が多いようだが。

ここまで来たら民主党は、不合理な再配分を行う「開発主義旧自民」ではなく「ネオリベ小泉自民」でもない「新しいリベラル民主」を打ち出しアピールできるかどうか。残された時間は多くはない。