放送と通信と就職活動

就職活動で、シンクタンク中心に活動を行っていることはあまり変わっていない。ただ新聞出版、教育にも少し興味がありリクナビや企業のHPで情報収集したり、新聞社の資料請求をしてみた。


ところが新聞社のエントリーシート、いまだに紙です(笑)。3年のときに資料請求したときも、紙でエントリーする企業は少なかった。2年後の2005年にいたっても紙です。某出版社はpdfを印刷して書く方式。もう、紙の時点でかなりやる気なくします。エネルギーと時間の浪費という感じがしますから。あと「○○社の最近の紙面で評価するところと評価しないところ」って言われても、新聞読まないし、別に新聞を読まなくてもネットで情報収集できるしね。


さて本題ですが、ライブドアとフジの問題にしても、紙のエントリーシートにしても、マスメディアってやっぱり最後の護送船団方式なんだって感じます。出版社は再販制度、新聞・テレビは記者クラブ、新聞は宅配制度、テレビは電波の周波数制限と、まぁ新規参入規制防止の規制でいっぱいです。


出版・新聞という活字メディアが先細りであることはこれまでも指摘されてきた。そして今回のライブドア・フジの問題が起こること事体がテレビメディアの競争力にかげりが出てきた証拠である。従来なら問題になることもなかっただろう。


テレビの従来型のビジネスモデルは電波周波数制限による寡占とそれによるブロードバンドを受ける膨大な視聴者数の獲得がまずあり、それに乗っかる広告(会社)からテレビ局は莫大な広告収入が手に入るというモデル。そしてテレビ局に求められているのは企業広告が多数に届くように視聴率を稼ぐこと、そのためには無難なコンテンツ、金さえあれば作れるようなコンテンツの製作が求められる。例えば小難しい年金の専門的な話よりも、政治家の未納を面白おかしくブロードキャストすればいい。


はっきり言えば、主要5社による寡占が続く限り、大して頭ひねってコンテンツを作らなくても広告を主として金が入ってきて、社員も高い給料を手にすることができる。


その寡占に穴を開けようとするのが今回のライブドア。個人的に堀江氏のバッシングマーケティング(わざとバッシングを浴びるような振る舞いをして、注目をあつめる)にはよく思わない部分もあるが、堀江氏の主張そのものは、護送船団の中でテレビの公共性うんぬん主張するフジテレビよりも、はるかに説得力がある。


放送と通信の融合(初めてこの言葉を聞いたのはおととしSFCで。国領二郎教授のネットワーク社会論だった)により、インターネットという新たなメディア(媒体)が入ることにより、電波という旧来メディア(媒体)を独占することができなくなれば、現行の広告にのっとったテレビ局のビジネスモデルは崩壊する。電波からインターネットにインフラが変われば、コンテンツの流し方がオンデマンドになるだけでなく、コンテンツ制作方法そのものが変わってくる。通信側にとって、ボトルネックをどう抑えるか(ブロードバンドもフレッツADSL,ヤフーBBなど様々ある)という
こともさることながら、やはり問題はコンテンツをどう手に入れるかである。


消費者の観点からすれば、ネットで自分が好きなときに動画を見られる(動画はADSLだと見れないことはないが、画質にこだわるならやはり光ファイバー)のは、喜ばしい。少なくとも当たり障りのなく、字幕の間違いが多い(例えば「絶対絶命」など。コンテンツ制作の下請け会社のスキルが下がっている)テレビを見るよりは望ましいのだ。

こういう意味では護送船団でやってきたテレビ局は、フジに限らず競争力がなくなり、先細っていく可能性が高いだろう。

そもそも情報発信をマスメディアが独占して、人々の意思決定に影響を与えている、また朝日のように日本の政治を動かしていると考えていること自体が、時代錯誤ではないか。

ライブドア・フジの問題は、インターネットという新しいメディアが放送という旧来メディアに取って代わる、通信と放送の融合ということが目の前で起こっているにすぎないように思う。それにともない既得権益を享受している古い世代があたふたしていると。

どうやら自分の就職選択肢の中から旧来メディアが外れそうな予感である。