就職した時、そして働いている今も持ち続けている感覚
「なぜ、今の会社を選んだの」と色々な人に数知れず聞かれてきましたが、きちんと答えると面倒だと思い、適当にごまかしてきた。何よりきちんと答えると、「何おかしなこと考えてるの」と言われそう(周囲から浮きそう)だという判断もあった。
それでも、きちんと答えるとするなら以下の文章と同意の答えです。
以下は、就職した時の感覚、そして今も持ち続けている感覚を代弁してくれる文章です。長いですが引用します。
サンプル数は少ないものの、二〇〇五年時点で二八歳から三三歳に該当する人々に見られる面白い兆候がある。
第二次ベビーブームとほぼ重なるこの世代の中に、「エリート」の定義に対しシビアで、かつ独特の感覚が生じ始めているのだ。
アメリカの場合は、(中略)経営層を始めとし、エリートと認識される人々が意思決定ポストを独占的に握る仕組みだ。
しかし、日本の第二次ベビーブーム、団塊ジュニアと重なる人々が描いているのはこうした価値観と微妙に異なる。
彼らの描くキャリア像において、成長スピードの目安はアメリカの感覚に非常に近い。三十歳前後が中堅、三五歳〜四十歳がベテランで四五歳から経営層、というペースであるため、自らを「若輩」とはあまり位置づけていない。
しかし、MBAに代表される経営に関わる知識や、知識サービスを提供するプロフェッショナル・サービス・ファーム、高額のフィーを要求する投資銀行など、アングロサクソン型の企業や、国際業務にあたる多国籍企業には限界があると考えている。一度は参画するものの三年から五年程度で見切りをつけてしまうのだ。
「机上の論理でリアリティがない」
高学歴者のコミュニティに入るだけなら、勉強だけすれば良いので単純だというのだ。そして環境が極端に異なる職場に飛び込む。(中略)
「高級ホテルのラウンジに集まって、血の通わない議論をしているインテリ然としたサロンには興味がない。現場を知らず脇が甘いのがよくわかる。肩書きのコレクションをしているような人々はエリートでも何でもない」
現場の泥臭さや理不尽さ、無理解、現実に起こる出来事の荒唐無稽さをコントロールできなければ実力のある人などとは言えないという。話せばすぐに浅さが露呈するため、人がついてこないという。
「団塊の世代なら現場の苦労話に感動して満足するだろうがそれでは意味がない。現場で実績を作りながら、体力のある今は理論武装につなげ経験を体系化する時期だと思っている。そのうえで天下国家を動かす仕組みを考えられれば、社会に対する発言権を持てるのだと思う。」(中略)
蜘蛛の巣の世界でいうならば、アメリカのエリートとは経営層のみ、あるいは「回転ドア」と称されるように政府と学術と民間のエリートポストを独占し、蜘蛛の巣の中央の環を渡り歩く人々である。この意味においては、アメリカの構造は巨大なヒエラルキーに過ぎない。
ところが日本の第二次流出組の中には、蜘蛛の巣でいうなら、いわば中央と外枠を自由に動き回ることがエリートだと思っている人々が出始めている。むしろエリートでい続けるという既成概念そのものに囚われることに対して、根本的に冷めているのだ。だからパラサイト・ミドルとは、判断のアプローチが根本的に異なるのである。旧来上下と捉えられてた世界を自由に移動する人々なのである。
彼らが意思決定に使う材料は、過去の事例に倣い「この趨勢が続けば」という仮定を置く方法とは異なる。本書の前半で、「今の若い人は結果をすぐに求める」という中高年と若年層とのコミュニケーションギャップを紹介した。若手は、実行の直後に検証作業を繰り返し、未来に確定している事象と突合せて判断をしたいと考えている。三年の足踏みも若手にとっては高いリスクである。考慮にいれなければならない変数があまりに多く、物事が常に流動的なために、終始、判断を重ねては実行に移す。
ヒエラルキーの頂点を直線的に目指すのではなく、蜘蛛の巣における線の引き方と面の抑え方に関心がある。頂点と底辺と思われている現場を知っておけば、どんな未来が訪れても対応できるという、いわばサバイバルに近い感覚である。
三神万里子『パラサイト・ミドルの衝撃 サラリーマン45歳の憂鬱』P266〜P271
まさしく実力のある人とは、「大企業だから」、「環境が整っているから」、「優秀な人が周囲にいるから」という諸々の付帯条件に関わらず、パフォーマンスを発揮できる人材だと思いますし、実際に「所属歴を指す学歴には意味がない。だが何を学んできたかという学歴には非常に意味がある。」と考えています。
「実力のある人材」になるべく、日々精進したいものです。
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