The structure of Sociological Theoryメモ2

2005/5/20に書いたものです。

The Structure of Sociological Theory

The Structure of Sociological Theory

Ch4.Systerms Functionalism: NIKLAS LUHMANN

二クラス・ルーマン(1927〜1998)
 フライブルク大学で法学を学んだ後、リューネブルク上級裁判所、ニーダーザクセン州文化省勤務、シュパイヤー行政単科大学研究所などを経て、1968年よりビーレフェルト大学教授(社会学)。1998年に死去。1960〜61年にかけてハーバード大学に留学し、タルコット・パーソンズに師事。

・理論上の時期区分*1
 1 初期:60年代から70年代半ばまで
   ハーバーマスと論争し、「テクノクラートのイデオローグ」のレッテルが貼られる
  キーワードは「等価機能主義」「機能−構造主義」「複雑性の縮減」
 2 中期=移行期:70年代半ばから80年代前半まで
   「自己言及」概念の導入、「複雑性の縮減」は背景へ
 3 後期=完成期:主著『社会システム』(1984年)刊行以降
   「オートポイエーシス」概念の導入(オートポイエティック・ターン)
   「社会の〜」シリーズ刊行により、機能システムごとの分析へ

                              
P54
パーソンズの「行為」から構成される分析的機能アプローチへの批判
ルーマンは社会システムを「(環境に存在する)複雑性の縮減」という機能からとらえる
→<システム/環境>という区別から考察する



LUMANN’S GENERAL SYSTEMS APPROACH (P55~)

Systems and Environment
社会システムを生み出すための最も基本的要素をコミュニケーションとする
複雑な「環境」から区別された「システム」=システムは複雑性を縮減している


Dimension of the Environment
・複雑性の縮減は3つの基本的な次元に沿って起こる
1.時間の次元 2.物質の次元 3.象徴の次元


Type of Social Systems
3つの基本的な社会システムがある
1.相互作用システム:顔をつきあわせた1対1での言語によるコミュニケーションから形成される
2.組織システム:仕事など特定の条件のもとで個人の行為を調整する
3.(狭義の)社会システム:相互に影響するコミュニケーション行為の総体


System Differentiation, Integration, and Conflict
上記の3つのシステムは全体的に見れば分離しているわけでなく相互作用している
ただ社会の複雑化にともなってお互いに分化している
分化によって「ボトルネック」と異なるシステム同士の衝突という問題が発生
統合の促進には
 1.行為の選択のために時間的・物質的・社会的前提を与える
    2.環境に対して秩序や構造を課す
ひとたび組織分化が社会でうまくいく仕組みになると、特定の社会的組織が衝突をやわらげるために作られやすくなる

あと、ルーマンは複雑なシステムでは秩序が共通の価値・信念・規範に基づいた合意によって維持されることはないと強調している
社会組織へ個人の思い入れが社会統合には重要ではないことも強調している


Communications Media, Reflexivity, and Self-Thematization
すべての社会システムはコミュニケーションに基づいている
人間のコミュニケーションは再帰的であり、その再帰性が自己準拠(Self-Thematization)につながる


Communication and Codes
コミュニケーションは行為者のふるまいを知らせる象徴を通じて起こり、象徴はいくつかの特性をもったコードを構成する
コミュニケーション・コードは二元的であるので複雑性を縮減すると同時に、もう一つの可能性をほのめかす。(例.合法は「合法/不法の区別」があり、不法ではない)


Communication Media
社会が機能分化するにつれ、それぞれの領域(政治、経済、家族、科学・・・)でそれぞれのメディア(権力、貨幣、愛、真実・・・)が使われる。


Reflexivity and Self-Thematization
メディアの使用は再帰性を与える。つまり行為そのものを検討するプロセスも行為
メディアを通じた自己準拠は環境の時間的・物質的・象徴的次元をあつかうガイドラインを与えることで複雑性を縮減する


Luhmann’s Basic Approach 
ルーマンのシステム理論はシステム/環境の区別から成る
システムは時間・空間・象徴という次元で複雑性を縮減する
複雑性縮減のプロセスは機能的なメカニズムである
相互作用・組織・狭義の社会という3つのシステムがある
すべてのシステムは再帰性をもつコミュニケーションにより発生する



LUHMANN’S CONCEPTION OF SOCIAL EVOLUTION (P61~)

ルーマンは環境の複雑性に対してシステムが分化を増す過程として進化をとらえる


The Underlying Mechanisms of Evolution
狭義の社会システムの性質にて多様化(variation)、選別(selection)、安定(stabilization)を生み出すプロセスとして進化をとらえる


Evolution and Social Differentiation
進化とは相互作用システム、組織システム、狭義の社会システムがお互いに分化していくこと
進化は上記の3つのシステムが内部で分化していくことも含む
進化には社会システムが経済、政治、法、宗教、家族、科学、教育という各機能的領域に分化することも含む
機能分化は差異を生み出すコミュニケーション・メディアの使用を通じて達成される
人々、役割、プログラム、価値の間での進化を通じて分化ははっきりする
進化は、a分節、b成層、c機能分化という異なる分化の形式を通じた動きも含む
進化的分化はシステムと環境との関係を複雑にする(進化はリスクを減らすメカニズムの複雑さを増やす)


THE FUNCTIONAL DIFFERENTIATION OF SOCIETY (P66~)
Politics as a Social System
政治システムでは決定を拘束するために、権力というコミュニケーション・メディアを使う
ルーマンはもう一つのほうを選ぶ決定や他人のために複雑性を減らす決定をさせる可能性を権力としている

ルーマンは政府などの特定の制度的プロセスを分析するために概念的なメタファーを使うのであり、厳密な意味で演繹的に分析枠組みを用いるのではない


The Autonomy of the legal system
個人が役割を果たせるように調整する機能的なメカニズムが法である
法が自律性をもつには政治の発展のみならず、
1.自治が起こること:システムがコミュニケーションや行為を正当化する法を参照する
2.法を作る自治:法がどのようになるかを決める法的なシステムがある
という2点が必要である


The Economy as a Social System
ルーマンは満足させる保障を与えることで獲得した時間を利用する一方、要求を満足させる決定を先延ばしすることとして経済を定義する
伝統的な社会では相互扶助のような小さい規模の解決策が通用するが、複雑な社会では売買という役割をもった市場の発展が必要となる
経済システム(市場)におけるコミュニケーション・メディアは貨幣であり、貨幣は複雑性を減らすのではなく、移転する。また環境における時間の次元を変える。
貨幣も他のコミュニケーション・メディア同様、再帰性を持つ。
貨幣というメディアは最も有力なメディアであるので、経済システムは他のサブシステムと比べて傑出したシステムである
経済システムが複雑になると人が行動する際にリスクを高める。リスクを減少させるには経済システム内部で、1.世帯、2.会社、3.市場という3つに分化する必要がある。
経済システムの複雑性や他のサブシステムに対する重要性は他のリスク軽減メカニズムに圧力をかける可能性があることをルーマンは警告している

*1:馬場靖雄、2003、『ルーマンの社会理論』勁草書房を参照した。