サービス化と戦略

サービス化とは経済におけるサービス化です。今日、最初に経済に関してのコラムを書きましたけど、そこで企業収益が上がることが日本経済復活の鍵であると書きました。サービス化と言う観点からさらに詳しく書きたいと思います。

日本経済は今でも製造業は強いです。といっても製造業は日本経済に占める割合は3,4割です。その3,4割がものすごい生産を挙げているわけです。そしてサービス業が5割程度。この割合はもっと増えるでしょう。サービス化が起こっているのです。ですから、いかにサービス業を強くするかが非常に重要なのです。あと重要だと思うのが戦略です。この2つについて書きます。

まずサービス化ですが、大事な点は3つ。1つ目にサービス化は知識集約的であること。よいサービスを生み出すためには知識が要ります。別の言い方をすると高い教育が必要となってくるのです。ベンチャーは普通の人にある日突然いい考えが浮かぶのではなく、教育のある人がいいアイデアを考え出すのです。したがってさらに高度な教育(大学院教育)が必要となる。

次に2点目は「脱物質化」ということ。サービスは無形のものですから、あまり製品に重さが無い。したがって脱物質化・ウェイトレス化が進むとどうなるのかというと、相対的に女性や高齢者にとって有利になる。重さが重要なところでは、体力のある成人男性が女性や高齢者に対して有利になる。ですが、サービス化の結果脱物質化することで、女性や高齢者も知識さえあれば十分やっていけるわけです。サービス化が進んだ企業ではしょうもない男よりは教育ある女性のほうが会社に貢献してくれる。ですからサービス化すると教育さえあれば女性や高齢者にもチャンスが出てくるのです。

最後はサービスは取引しやすいということがあります。物質だと移動させるのに大変ですが、例えば情報を売るのようなサービスは送ったりするのが容易です。極端にいえばメルマガのように、メールに添付すればサービスが送れたりする。また大学で行なった基礎研究の成果を企業に売ることも可能になってくる。逆にいえば、そこの取りひきネットワークが重要になってくる。

以上サービス化ということで3点挙げました。次に戦略です。現在、ものを売るときに何が重要なのかというと戦略だろうと思います。というのも、現在ではものにもよりますが製品の質は非常に良いものが揃っている。では何で差異化するのかというと、マーケティング戦略やイメージ戦略です。製品の差異は質よりもイメージに負うところが大きくなっています。ですからイメージ戦略に失敗すると大きな会社もとたんに経営が苦しくなる。例を挙げましょう。マクドナルドはなぜ世界一のファーストフードショップなのかというと、味というよりも売り方が上手いからです。つまり戦略が長けていたのですね。しかしマックは半額戦略が失敗だった。半額で客を寄せてセットを増やそうという戦略だったのでしょう。しかし、ハンバーガー半額にすることで「安い」というイメージがついてしまった。安いというイメージを持ってしまうと同じ500円セットでも、それが高く感じる。またハンバーガーとセットの間の値段ギャップが広がったことでセットが高く感じるのです。おなじ500円でもモスバーガーなら安く感じる。マックはそこのイメージ戦略を誤った。そして業績悪化です。あとはイメージ戦略が重要な現在、一概に大企業が有利とは限らない。というのも、雪印日本ハムのような数人の行いが悪かったせいで、企業全体に悪いイメージが付き一気に業績悪化する。こうしたリスクは従業員が多い大企業のほうが高い。

もっと戦略という概念を一般的に拡張し教育とのからみで書きます。ものすごく大雑把に言って、今の日本が上手くいっていないのは戦略における無能が原因だと思います。もちろん細かい原因を調べるといろいろ出てきますけど。6、70年代の追いつけ追い越せの時代は目標がはっきりしていましたから、他国よりいい製品を作れば売れた。それでよかった。優秀な理系の人たち―大学時代も勉強し、院にまで行って勉強している―がよいものを作ってくれた。今の日本があるのは本当に優秀な理系の人たちのおかげです。ですが、今は自分で目標がはっきりしないので、自分で目標を発見し、戦略を練る必要がある。その役目を担うのがいわゆる文系とよばれる人たちです。しかしながら、文系は大学時代には勉強をせず、院にも当然行かないですから、事実上実力的には高卒の人たちです。高卒が戦略を立てる。上手くいくはずがありません。国として考えると、エンジンである理系は一流だが、コックピットの文系は3流といういびつな構造になっているのが日本という国です。

これからサービス化は避けられず、戦略の重要性は増していくなかで、重要になってくるのが大学院教育だとおもいます。といっても文系も大学院に行く必要があると社会的に認知されるのは時間がかかるでしょう。ただ現状では文系の大学院卒は就職に不利になる企業が多いでしょうが、一方で有利になる企業もサービス業・外資系を中心に増えています。おそらく残って行くのは後者でしょう。

そういった社会の流れを是とするか非とするかは人によるでしょうが、女性や高齢者も教育さえあれば活躍できる社会の方が、成人男性というだけで稼いでいた社会よりも良い社会であるように僕は思います。