柔軟性の担保

今、居る環境に適応すればするほど、その中で振舞うことは次第に容易になっていく。意識しなくても、適切な行動がとれるようになってくる。そして適応度を深めると同時に、その中で重要になってくる知識も蓄えることが出来る。いわば環境への適応化とともに、その環境内で専門化していく(システムに組み込まれていく)。

ただ「環境内へ」の適応が専門化をともなっているということは、ある分野での専門化が「環境外へ」の適応を次第に難しくさせることでもある。ある分野で専門化することで、別の分野から疎外される所以でもある。ある分野で「正しい」ことが、別の見方では「正しくない」ことになる。


そこから敷衍できることは、まず「過剰適応することで、急激な変化に対応できない」ということである。今居る環境に「適度に」適応しながら、その一方でそこから距離をとって自分の軸を確保すること。もう一つは、自らの「正しさ」「価値観」を形づくる前提に対して敏感であること。

専門化してシステムに組み込まれるほど、変化に硬直的なりがちで不自由になり、異分子に寛容でなくなる。そのことを意識しながら、ある分野で専門化する。

そのせめぎ合いの中で柔軟性が育まれ、柔軟性がせめぎ合いを担保する。この自己言及が重要だ。