6カ国協議

まず6カ国協議ですが、日本では「拉致問題」を話し合う場だと思われていますが、明らかに「核問題」を話し合う場です。
日本のマスメディア(とりわけテレビ)では、拉致問題を切り出して各国代表から「論点をそらすな」という反応がされたことが流され、さらにそうした反応を「けしからん!」といったムードとともに流されています。

でも6カ国協議ってsix-party talks on North Korean nuclear crisisでしょ。つまり「北朝鮮核兵器が北東アジアというリージョナルな地域で問題になっているから話合おうという場」が6カ国協議です。日本では「北朝鮮問題」を話し合う場となっていますが、海外メディアでは明らかに「北朝鮮核問題」を話し合う場です。
http://www.state.gov/p/eap/rls/rm/2004/30093.htm
http://cns.miis.edu/pubs/week/030825.htm
Six-Party Talks on North Korean Issues | Ministry of Foreign Affairs of Japan

したがって韓国でも拉致被害者はいるが、将来的な南北統一に向けて、また直近の問題として拉致問題よりも核問題の方にプライオリティを置いている。
http://times.hankooki.com/lpage/opinion/200509/kt2005090920354554040.htm

拉致問題は感情的にフックしやすい(=テレビメディアに載りやすくポピュリズムにはまりやすい)ので、政治的に利用されやすい。

北東アジアにとって核問題の方が優先順位が高いにも関わらず、国内で拉致問題を政治的に利用しようとする政治家は国益に利するのだろうか。つまり「拉致に決然と取り組む」という国内での人気取り政策が、「核問題に誠実に取り組まない」という印象を与え北東アジアで日本に対する信頼感を損ねることになりはしないのか。


ちなみに、「経済制裁」についての個人的な考えは「早期発動」に拘るべきでないが、その発動に関してはきわめて慎重であり、発動の「構え」は必要だと思う。伝家の宝刀はいつでも抜けるぞという構えが重要であり、すぐに抜くべきでない。早期の経済制裁(とりわけ2カ国間での制裁)が拉致問題を「解決」するとは限らず、何より北朝鮮といっても一枚岩ではなく、北朝鮮国家と北朝鮮人民は分けて考える必要がある。制裁の結果、北朝鮮人民の反発を招くようなら政策として再考すべきだろう。